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「はい!どうぞ」
どーん、と置かれたのは鍋。
「また鍋かよ~」
彼が、少々うんざりといった顔で文句を言った。
「いいじゃない。この間は、チゲ鍋で、今日は豆乳鍋よ」
味が違うわ!胸を張る母親に、ユーリは言う。
「味が違っても鍋じゃん」
「まぁ、ゆーちゃんったら!せっかくママ、作ったのに!」
嫌なら、食べなくてもいいのよ?
彼の前から取り皿を取り上げてしまう。
「あー!食べる!食べます!ごめんなさいっ」
彼は慌てて手を伸ばした。
「そう?それなら沢山食べてね」
コンラッドは、そんな親子のやり取りに小さく笑った。
「なんだよ、コンラッド」
「いえ、楽しそうだなと。それに、いいじゃないですか鍋」
冬の定番メニューですよ。
「そうよねー。コンラッドくんは、よくわかってるわ。さ、遠慮なく食べてね」
にこにこと笑顔だ。
実際、コンラッドは自分の家で鍋の経験がほとんどない。
今のような、母親とのやり取りもない。
別に家族仲が悪いわけではなく、ただ幼いときから両親が仕事で忙しく
一緒に食卓を囲むことが少なかったのが、原因で、それ以外のときは普通に仲がいいと思う。
「はい、いただきます」
手を合わせて、食事を始めた。
豆乳鍋は美味かった。
味はもちろんだったが、彼が自分の前に座って食事をしてるというのが、余計に
料理をうまく感じさせているのではないかと思う。
しかし、困ったことに眼鏡がすぐ曇るのだ。
コンラッドは、溜息をつき、眼鏡を外し、胸ポケットに仕舞った。
これで、少しは食べやすくなった。
ふと、視線を感じてコンラッドは首を傾げた。
「先輩?どうしました?」
箸、止まってますよ。
そう言うと彼は、瞬きをした。
「あ、いやなんでもない!コ、コンラッド、もっと食え!ほら!」
「え、ええ・・・」
次々、具をいれられて取り皿の中はあっという間に小山ができた。
「あ、あの自分で取れますから」
「そ、そうか?うん、でもそれ位食べないと!好き嫌いも駄目なんだぞっ」
「はい」
彼がよそってくれた具をコンラッドはひとつひとつ味わって食べた。
さっきより、もっと美味しくなった気がした。
どーん、と置かれたのは鍋。
「また鍋かよ~」
彼が、少々うんざりといった顔で文句を言った。
「いいじゃない。この間は、チゲ鍋で、今日は豆乳鍋よ」
味が違うわ!胸を張る母親に、ユーリは言う。
「味が違っても鍋じゃん」
「まぁ、ゆーちゃんったら!せっかくママ、作ったのに!」
嫌なら、食べなくてもいいのよ?
彼の前から取り皿を取り上げてしまう。
「あー!食べる!食べます!ごめんなさいっ」
彼は慌てて手を伸ばした。
「そう?それなら沢山食べてね」
コンラッドは、そんな親子のやり取りに小さく笑った。
「なんだよ、コンラッド」
「いえ、楽しそうだなと。それに、いいじゃないですか鍋」
冬の定番メニューですよ。
「そうよねー。コンラッドくんは、よくわかってるわ。さ、遠慮なく食べてね」
にこにこと笑顔だ。
実際、コンラッドは自分の家で鍋の経験がほとんどない。
今のような、母親とのやり取りもない。
別に家族仲が悪いわけではなく、ただ幼いときから両親が仕事で忙しく
一緒に食卓を囲むことが少なかったのが、原因で、それ以外のときは普通に仲がいいと思う。
「はい、いただきます」
手を合わせて、食事を始めた。
豆乳鍋は美味かった。
味はもちろんだったが、彼が自分の前に座って食事をしてるというのが、余計に
料理をうまく感じさせているのではないかと思う。
しかし、困ったことに眼鏡がすぐ曇るのだ。
コンラッドは、溜息をつき、眼鏡を外し、胸ポケットに仕舞った。
これで、少しは食べやすくなった。
ふと、視線を感じてコンラッドは首を傾げた。
「先輩?どうしました?」
箸、止まってますよ。
そう言うと彼は、瞬きをした。
「あ、いやなんでもない!コ、コンラッド、もっと食え!ほら!」
「え、ええ・・・」
次々、具をいれられて取り皿の中はあっという間に小山ができた。
「あ、あの自分で取れますから」
「そ、そうか?うん、でもそれ位食べないと!好き嫌いも駄目なんだぞっ」
「はい」
彼がよそってくれた具をコンラッドはひとつひとつ味わって食べた。
さっきより、もっと美味しくなった気がした。
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「んー・・・見つかんなかったな」
「すみません、一緒に探してもらって」
「いいって、いいって・・・じゃ、とりあえず家に行こう」
「はい」
そこで、彼の家には犬たちがいることを思い出した。
「ん?どーした、コンラッド」
ぴた、と足を止めたコンラッドを振り返る。
「あ、いえ・・・なんでも」
「そう?じゃ、行こう」
大丈夫、大丈夫。
ほんの数分、彼らの熱烈歓迎を受ければ試練は終わる。
そう自分に言い聞かせて、コンラッドはユーリの後を付いていった。
「たっだいまー!」
ちゃかちゃかちゃか!
爪の音をさせて、犬達が家人を迎える。
「おかえりなさい、ゆーちゃ・・・あらっ!コンラッドくん!」
母親の笑顔がさらにぱぁぁぁ、と明るくなった。
母親は、コンラッドのファンなのだ。
コンラッドの素顔は眼鏡と前髪に隠れているのに、さすがは女性ということか。
「こんばんは」
手をベロベロ犬達に舐められながら、コンラッドは小さく頭を下げた。
「お袋、あのさコンラッドのお袋さんが帰ってくるまで家にいてもらっていいよな」
「ええ!もっちろんよー!今からとなると、お夕飯は家で食べていくでしょう?」
「すみません、突然なのに」
「だいじょーぶよ!いつも沢山つくるんだから!」
あげってあがって!と勧められたスリッパを履く。
「お邪魔します」
こうして、コンラッドは母が帰ってくるまで彼の家で過ごすこととなった。
「すみません、一緒に探してもらって」
「いいって、いいって・・・じゃ、とりあえず家に行こう」
「はい」
そこで、彼の家には犬たちがいることを思い出した。
「ん?どーした、コンラッド」
ぴた、と足を止めたコンラッドを振り返る。
「あ、いえ・・・なんでも」
「そう?じゃ、行こう」
大丈夫、大丈夫。
ほんの数分、彼らの熱烈歓迎を受ければ試練は終わる。
そう自分に言い聞かせて、コンラッドはユーリの後を付いていった。
「たっだいまー!」
ちゃかちゃかちゃか!
爪の音をさせて、犬達が家人を迎える。
「おかえりなさい、ゆーちゃ・・・あらっ!コンラッドくん!」
母親の笑顔がさらにぱぁぁぁ、と明るくなった。
母親は、コンラッドのファンなのだ。
コンラッドの素顔は眼鏡と前髪に隠れているのに、さすがは女性ということか。
「こんばんは」
手をベロベロ犬達に舐められながら、コンラッドは小さく頭を下げた。
「お袋、あのさコンラッドのお袋さんが帰ってくるまで家にいてもらっていいよな」
「ええ!もっちろんよー!今からとなると、お夕飯は家で食べていくでしょう?」
「すみません、突然なのに」
「だいじょーぶよ!いつも沢山つくるんだから!」
あげってあがって!と勧められたスリッパを履く。
「お邪魔します」
こうして、コンラッドは母が帰ってくるまで彼の家で過ごすこととなった。
バレンタイン5
お迎えが来て、友達がひとりひとり帰っていきます。
コンラートのお迎えはいつも遅いので、最後にひとり残ってしまうことがよくあります。
今日も、そうでした。
「どうした、コンラッド」
元気がないな、とゆーりせんせいが、らいおん組にやってきました。
どうやら、あひる組のみんなは帰ってしまったようです。
「ゆーり、せんせい」
「うん?」
今、部屋にはコンラートとゆーりせんせいしかいません。
チョコを渡すには、今しかありません。
けれど・・・
大好きなゆーりせんせいにチョコを渡したくて・・・。
喜んでもらいたくて、持ってきたチョこレートです。
けれど、持ってきてはいけないものを持ってきたと知れたら、
どうなるでしょう。
いくら、優しいゆーりせんせいでも許してくれないのではないか。
コンラートを嫌いになるのではないか。
怒られるのは、仕方ありません。
コンラートが悪いのですから。
でも、嫌われるのは嫌です。
そう思ったら、胸が苦しくなりました。
「・・・っ、ぅ」
「コンラッド!?」
ポタポタ、と透明な雫が、床に落ちました。
「どこか、痛いのか?」
「ち、が・・・」
ゆーりせんせいは慌てた様子で、タオルハンカチを出し、コンラートの涙を拭ってくれました。
「それじゃ、どうして」
「せんせ、い・・・ゆーりせんせい・・・俺、きょ・・・う、せんせいに・・・っ」
「うん?おれに?」
「これ、渡したくて」
ポケットにずっと仕舞っていたらいおんのチョコレートを出し、ゆっくりと掌をひらきました。
「ライオンの・・・チョコ?」
こく、と頷き、つっかえつっかえ話をしました。
せんせいに、わかってほしかったのです。
「きょ・・・ばれんたいんって・・・だから、俺、せんせいに・・・チョ、チョコ・・・でも、
幼稚園には持ってきちゃいけないって、さっき気が付いて、それで・・・でも、俺」
「そっか!バレンタインチョコ・・・ありがとな、コンラッド」
「せんせい、怒らないんです、か?」
コンラッドは、涙に濡れた眼でゆーりせんせいを見ました。
ゆーりせんせいは、少しも怒った顔をしていません。
「んー・・・確かに、幼稚園にチョコは持ってきちゃ駄目だけど・・・でも、コンラッドは
ちゃんと駄目だってわかっているんだから、これから気をつければいいよ。それに・・・」
「それに?」
ゆーりせんせいは、子どもみたいに笑いました。
「今なら、おれとコンラッドしかいないからな・・・」
「・・・せんせい?」
せんせいは、カサリ、とライオンの描かれたアルミ箔を剥がしました。
チョコは、コンラートの体温で、少し溶けていました。
ゆーりせんせいが、パキリとそれを折りました。
「ほら、コンラッド頭と身体、どっちがいい?」
「え・・・?」
意味がわからなくて、コンラッドが瞬きすると、ゆーりせんせいは、らいおんの頭を
摘みました。
「じゃ、コンラッドには頭な・・・はい、口あけて」
言われたとおり、口をあけるとポコッとチョコが入ってきました。
とろ、と口の中でらいおんのチョコは溶けてしまいました。
「ん、甘くておいしーな」
せんせいは、残った部分を口に放りこみ、にこっと笑いました。
「せんせい・・・」
「チョコ、幼稚園で食べた、なんて誰にも内緒、な?」
おれと、コンラッドふたりだけの秘密、だ。
「はい!」
大きく返事をすると、ゆーりせんせいは、髪をくしゃくしゃと掻き混ぜました。
「よし、いいこ。でもあのチョコ、コンラッドが買ったのか?」
「あ、それは・・・あの母上がおれにくれて、それで」
「え・・・よかったのか?おれがもらっちゃって」
「いいんです。まだカバさんもキリンさんもいますから」
「そっか・・・で、おれがライオン好きだから、ライオン持ってきてくれたんだ」
ゆーりせんせいは、本当なんでもお見通しのようです。
「はい」
「ありがとな、コンラッド」
ゆーりせんせいが、ギュ、とコンラートを抱きしめてくれました。
コンラートは、ゆっくり目を閉じました。
こうして、コンラートのはじめてのばれんたいんは終わりました。
お迎えが来て、友達がひとりひとり帰っていきます。
コンラートのお迎えはいつも遅いので、最後にひとり残ってしまうことがよくあります。
今日も、そうでした。
「どうした、コンラッド」
元気がないな、とゆーりせんせいが、らいおん組にやってきました。
どうやら、あひる組のみんなは帰ってしまったようです。
「ゆーり、せんせい」
「うん?」
今、部屋にはコンラートとゆーりせんせいしかいません。
チョコを渡すには、今しかありません。
けれど・・・
大好きなゆーりせんせいにチョコを渡したくて・・・。
喜んでもらいたくて、持ってきたチョこレートです。
けれど、持ってきてはいけないものを持ってきたと知れたら、
どうなるでしょう。
いくら、優しいゆーりせんせいでも許してくれないのではないか。
コンラートを嫌いになるのではないか。
怒られるのは、仕方ありません。
コンラートが悪いのですから。
でも、嫌われるのは嫌です。
そう思ったら、胸が苦しくなりました。
「・・・っ、ぅ」
「コンラッド!?」
ポタポタ、と透明な雫が、床に落ちました。
「どこか、痛いのか?」
「ち、が・・・」
ゆーりせんせいは慌てた様子で、タオルハンカチを出し、コンラートの涙を拭ってくれました。
「それじゃ、どうして」
「せんせ、い・・・ゆーりせんせい・・・俺、きょ・・・う、せんせいに・・・っ」
「うん?おれに?」
「これ、渡したくて」
ポケットにずっと仕舞っていたらいおんのチョコレートを出し、ゆっくりと掌をひらきました。
「ライオンの・・・チョコ?」
こく、と頷き、つっかえつっかえ話をしました。
せんせいに、わかってほしかったのです。
「きょ・・・ばれんたいんって・・・だから、俺、せんせいに・・・チョ、チョコ・・・でも、
幼稚園には持ってきちゃいけないって、さっき気が付いて、それで・・・でも、俺」
「そっか!バレンタインチョコ・・・ありがとな、コンラッド」
「せんせい、怒らないんです、か?」
コンラッドは、涙に濡れた眼でゆーりせんせいを見ました。
ゆーりせんせいは、少しも怒った顔をしていません。
「んー・・・確かに、幼稚園にチョコは持ってきちゃ駄目だけど・・・でも、コンラッドは
ちゃんと駄目だってわかっているんだから、これから気をつければいいよ。それに・・・」
「それに?」
ゆーりせんせいは、子どもみたいに笑いました。
「今なら、おれとコンラッドしかいないからな・・・」
「・・・せんせい?」
せんせいは、カサリ、とライオンの描かれたアルミ箔を剥がしました。
チョコは、コンラートの体温で、少し溶けていました。
ゆーりせんせいが、パキリとそれを折りました。
「ほら、コンラッド頭と身体、どっちがいい?」
「え・・・?」
意味がわからなくて、コンラッドが瞬きすると、ゆーりせんせいは、らいおんの頭を
摘みました。
「じゃ、コンラッドには頭な・・・はい、口あけて」
言われたとおり、口をあけるとポコッとチョコが入ってきました。
とろ、と口の中でらいおんのチョコは溶けてしまいました。
「ん、甘くておいしーな」
せんせいは、残った部分を口に放りこみ、にこっと笑いました。
「せんせい・・・」
「チョコ、幼稚園で食べた、なんて誰にも内緒、な?」
おれと、コンラッドふたりだけの秘密、だ。
「はい!」
大きく返事をすると、ゆーりせんせいは、髪をくしゃくしゃと掻き混ぜました。
「よし、いいこ。でもあのチョコ、コンラッドが買ったのか?」
「あ、それは・・・あの母上がおれにくれて、それで」
「え・・・よかったのか?おれがもらっちゃって」
「いいんです。まだカバさんもキリンさんもいますから」
「そっか・・・で、おれがライオン好きだから、ライオン持ってきてくれたんだ」
ゆーりせんせいは、本当なんでもお見通しのようです。
「はい」
「ありがとな、コンラッド」
ゆーりせんせいが、ギュ、とコンラートを抱きしめてくれました。
コンラートは、ゆっくり目を閉じました。
こうして、コンラートのはじめてのばれんたいんは終わりました。
バレンタイン4
「おはよーございまーす」
「おはよう」
次々友達たちが、幼稚園にやってきます。
この中でどれだけ、今日がばれんたいんだと知っているでしょう。
きっと、あまり知らないのではないかと思います。
だから、ばれんたいんを知っている自分は少しだけ、
おとなだと思いました。
「ゆーりせんせい、おはようございます」
「お、コンラッド。おはよう」
ゆーりせんせいは、いつも通り優しい笑顔で挨拶してくれます。
コンラートは、ポケットに手を突っ込み、
ライオンのチョコを出そうとしました。
「せんせい、あの・・・」
「ん?」
そこへ、ゆーりせんせいにタックルする子が。
「せんせい!おはようございます」
「おはよう、ヴォルフ」
「せんせー!」
「ああ、おはよう」
ゆーりせんせいは、人気者で、あっと言う間に囲まれてしまいました。
これでは、とてもチョコレートを渡すことなどできません。
仕方ありません、まだ渡す機会はあるでしょう。
「コンラッド、なにか言いかけていなかったか?」
去りかけたコンラートにゆーりせんせいが声を掛けてくれました。
コンラートは、せんせいに声を掛けてもらっただけで嬉しくなり、
笑顔になりました。
「なんでも、ありません。ゆーりせんせい、また後で」
手を振って、らいおん組に戻りました。
それから、絵を描いても歌を歌っても、コンラートは
ポケットにいれたチョコレートのことが気になって
仕方がありませんでした。
はやく、ゆーりせんせいに渡したいな・・・。
どんな顔をしてくれるだろう。
けれど、そこまで考えて、コンラートはひとつの事を思い出しました。
そう、確か幼稚園には、お菓子を持ってきてはいけなかったはずです。
コンラートは、サァーッと血の気が引いていくのがわかりました。
せっかく、せんせいに渡そうと思って持って来たというのに・・・。
チョコなんて渡したら、喜ばれるどころか怒られてしまいます。
困った子だと、嫌われてしまうかもしれません。コンラートは泣きたくなりました。
「おはよーございまーす」
「おはよう」
次々友達たちが、幼稚園にやってきます。
この中でどれだけ、今日がばれんたいんだと知っているでしょう。
きっと、あまり知らないのではないかと思います。
だから、ばれんたいんを知っている自分は少しだけ、
おとなだと思いました。
「ゆーりせんせい、おはようございます」
「お、コンラッド。おはよう」
ゆーりせんせいは、いつも通り優しい笑顔で挨拶してくれます。
コンラートは、ポケットに手を突っ込み、
ライオンのチョコを出そうとしました。
「せんせい、あの・・・」
「ん?」
そこへ、ゆーりせんせいにタックルする子が。
「せんせい!おはようございます」
「おはよう、ヴォルフ」
「せんせー!」
「ああ、おはよう」
ゆーりせんせいは、人気者で、あっと言う間に囲まれてしまいました。
これでは、とてもチョコレートを渡すことなどできません。
仕方ありません、まだ渡す機会はあるでしょう。
「コンラッド、なにか言いかけていなかったか?」
去りかけたコンラートにゆーりせんせいが声を掛けてくれました。
コンラートは、せんせいに声を掛けてもらっただけで嬉しくなり、
笑顔になりました。
「なんでも、ありません。ゆーりせんせい、また後で」
手を振って、らいおん組に戻りました。
それから、絵を描いても歌を歌っても、コンラートは
ポケットにいれたチョコレートのことが気になって
仕方がありませんでした。
はやく、ゆーりせんせいに渡したいな・・・。
どんな顔をしてくれるだろう。
けれど、そこまで考えて、コンラートはひとつの事を思い出しました。
そう、確か幼稚園には、お菓子を持ってきてはいけなかったはずです。
コンラートは、サァーッと血の気が引いていくのがわかりました。
せっかく、せんせいに渡そうと思って持って来たというのに・・・。
チョコなんて渡したら、喜ばれるどころか怒られてしまいます。
困った子だと、嫌われてしまうかもしれません。コンラートは泣きたくなりました。
バレンタイン3
そして、とうとうばれんたいんになってしまいました。
結局コンラートは、チョコレートを用意できないままでした。
「おはよう、コンラート!はい、バレンタインチョコよ」
「おはようございます。うわ!ありがとうございます、母上っ」
おはようの挨拶と共に渡された長方形の箱。
「開けていいですか?」
「もちろんよ」
リボンを解き、包装紙を取り除き蓋をあけると、可愛い動物の形をしたチョコが沢山はいっていました。
「動物のチョコ!」
「ええ、コンラート動物好きでしょう?」
「はい、ありがとうございます」
コンラートは大きく頷きました。
母上は、優しく笑うと細い指で、コンラートの髪を梳いてくれました。
「さ、ご飯にしましょう」
「はい」
母上が、トーストを焼いてくれる間、コンラートはチョコの動物を眺めていました。
ゾウ、カバ、キリン、シマウマそれから、コンラートの好きなライオン。
「らいおん・・・」
コンラートはいいことを思いつきました。
ゆーりせんせいは、らいおんが好きだと、前に言っていたのを思い出したのです。
「これなら、ゆーりせんせい喜んでくれるかな」
コンラートは、ライオンの形をしたチョコレートをそっと取り、ポケットに仕舞いました。
そして、とうとうばれんたいんになってしまいました。
結局コンラートは、チョコレートを用意できないままでした。
「おはよう、コンラート!はい、バレンタインチョコよ」
「おはようございます。うわ!ありがとうございます、母上っ」
おはようの挨拶と共に渡された長方形の箱。
「開けていいですか?」
「もちろんよ」
リボンを解き、包装紙を取り除き蓋をあけると、可愛い動物の形をしたチョコが沢山はいっていました。
「動物のチョコ!」
「ええ、コンラート動物好きでしょう?」
「はい、ありがとうございます」
コンラートは大きく頷きました。
母上は、優しく笑うと細い指で、コンラートの髪を梳いてくれました。
「さ、ご飯にしましょう」
「はい」
母上が、トーストを焼いてくれる間、コンラートはチョコの動物を眺めていました。
ゾウ、カバ、キリン、シマウマそれから、コンラートの好きなライオン。
「らいおん・・・」
コンラートはいいことを思いつきました。
ゆーりせんせいは、らいおんが好きだと、前に言っていたのを思い出したのです。
「これなら、ゆーりせんせい喜んでくれるかな」
コンラートは、ライオンの形をしたチョコレートをそっと取り、ポケットに仕舞いました。