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じなん部屋
April / 29 Wed 19:46 ×
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December / 13 Thu 15:52 ×
「ううう・・・さむー」
マフラーに鼻のあたりまで顔を埋めるようにして帰宅する。

いつもと変わらない通学路だが、この時期になると街路樹に電球が巻きつけられ、
街灯にも金や銀色のリボンが飾りつけられている。

「なんか、ほんとどこもかしこもクリスマスっぽくなってき・・・」

ユーリは足を止めた。

「ここ、ほんとーに歯医者だよなぁ?」

もう見慣れてしまったウェラー歯科医院のドア。
そこにはクリスマスリース。

入口付近にはツリーとスノーマンの置き物。
ソリに乗ったサンタクロースにトナカイもいる。

ポインセチアにシクラメンも飾られている。

「・・・クリスマスショップみたいだよ」

良く見れば植え込みにも電球が・・・きっと、暗くなったらライトアップされるのだろう。

「あ・・・倒れちゃってる」

ユーリは、ポインセチアの鉢植えが、ひとつ転がっているのに気がついた。
屈んで、それを起こす。

「ほんと、ここの先生って絶対に女医さんだよ~」

かわいくて、綺麗なものが好きなやさしー女医さん。
ユーリは勝手にそんな医師の姿を想像し、小さく笑った。

『大丈夫、痛くないからね』
なんて、優しい声をかけながら、治療してくれるのだろう。

「出てきたりしないかな」

少しだけ、じーっ、と医院の入口を見つめてから、ユーリは苦笑して立ち上がった。

「なんて、そうそう都合よく出てくるわけないっつの」

帰ろ、呟いてユーリは再び歩きはじめた。


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December / 12 Wed 13:24 ×
クリスマス


「フンフンフーン♪」
鼻歌を歌いながらユーリは輪飾りを作っている。
すると、ガラ、と引き戸の開く音がしたので、顔を上げるとそこには、コンラッドがいた。

「コンラッド、お迎えはまだ?」
「はい」
こく、と頷くコンラッド。
ユーリはちら、と時計を見た。
少し遅い時間だった。

「おいで」
手招きすると、てけてけと近づいてくる。

「ゆーりせんせい、何つくってるんですか」
ちょこん、と隣に座りゆーりせんせいの手元を覗き込む。
「ん?輪飾りだよ」
「なにか、するんですか?」

ゆーりせんせいは、楽しそうに笑った。

「なに、って、もうすぐクリスマスじゃないか。だから、その飾りつけの準備だよ」
もちろん、後でみんなにも作ってもらうけど、たくさん必要だからね。

「俺もお手伝いしていいですか?」
「ありがとう、助かるな!」
ゆーりせんせいは、笑って、コンラッドの頭をぐしゃぐしゃと掻き混ぜました。

細く切られた折り紙の端にのりをつけ、まるく輪にする。

「コンラッド、うまいな」
ゆーりせんせいは、コンラッドの作った輪飾りを、褒めてくれた。
褒められて、コンラッドはとても嬉しくなりました。

「コンラッド、クリスマスのプレゼント決めた?」
「プレゼント?」
ゆーりせんせいに尋ねられ、コンラッドは首を傾げた。

「まだ、決めてないのか?」
「ええと、・・・まだ、です」
正直、クリスマスをどう過ごすかわかっていない。
なにしろ、父は冒険家でいつ家に帰ってくるかわからなかったし、
母は仕事が忙しいので、クリスマスどころではない。
ただ、クリスマスの朝、何か贈り物をもらえたけれど、コンラッドに何が欲しいかと
聞いてくれる大人はいなかった。

「もしかして、欲しいのがいっぱいあって、何にするか悩んでるとか?」
「違います・・・俺、ほしいもの、なくて・・・」
「・・・え」

ゆーりせんせいの手が止まった。

「ゆーりせんせい?」
「コンラッド、今までクリスマスのパーティーしたことは?」

コンラッドは、首を振った。

「そ、っか・・・よし!じゃぁ、コンラッドのお母さんがいいって言ったらクリスマスは、おれと一緒に過ごそう」
「ゆーりせんせいと?」
「そう。おれの家で」
「いいんですか?」
「もちろん。ただし、皆にはないしょな?」

ゆーりせんせいは、人差し指を自分の唇にあて、そう言った。

「ありがとうございます!うれしいです!」
「わわっ!コンラッド、急にあぶないって・・・っ」

コンラッドは、嬉しくて、思わずゆーりせんせいに飛びついてしまいました。
せんせいは、驚きつつもしっかりコンラッドを抱きとめてくれました。

「一緒に楽しく過ごそうな」
くしゃくしゃと、ゆーりせんせいの手がコンラッドの髪を撫でてくれました。
December / 05 Wed 17:00 ×
騎馬戦で、体勢を崩し下敷きになった。

「・・・ッ」
立ち上がると、左足首に痛みが走った。

「ウェラー!怪我したのか?」
クラスメイトが心配して声を掛けてくれる。

「ああ、少し捻ったかもな・・・ちょっと診てもらってくる」
「ついていくぜ」
「ありがとう。でも、そんな大したことないから」
皆は競技にもどっていい。
そう言って、俺は救護係のいるテントにむかった。

「すみません、少し足を捻ったようなんですが」
「コンラッドじゃないか!」
「え・・・ユーリ先輩」
まさか、こんなところで彼に会うとは思わなくて、俺は軽く驚いた。

「コンラッド、足捻ったって・・・そっか、もしかして騎馬戦で?」
「ええ、まぁ・・・先輩は?」
「ん、おれは、ムカデ競争で派手にすっころんだから、絆創膏をもらいに・・・」
見ると、ユーリ先輩の膝から下が、広範囲で擦りむけて、血が滲んでいた。

「痛そうですね」
思わず、眉間に皺がよる。

「ん、まぁ、風呂の時染みると思うけど、こんなのなんともないって」
それより、コンラッドの方が大変なんじゃないか?

「そうですね」
「そうですね、って・・・自分のことだろ!もっと、心配しろよ」
キッと睨まれた。
「すみません」
どうも、昔から自分のことはあまり気にならない性質なのだ。

「まったく・・・コンラッドは、いつも我慢するから・・・ほら、ちょっと靴脱いで診せてみな」
「はい。あの、ユーリ先輩って救護係なんですか?」
「ん、違うけど・・・今、忙しいみたいだから」
そう言われてテント内を見回すと、先輩と同じようにあちこち擦りむいた生徒たちが治療を受けている。
「確かに忙しそうですね」
「だろ?コンラッド、おれ、草野球してるから、少しは詳しいよ。だから、診せてみなって」

ユーリ先輩に言われるまま、俺は靴を脱いだ。

「・・・こうすると、痛いか?」
「いえ、平気です」
「じゃぁ、こうは?」
ビキッ、と痛みが走った。
幸い、声を出すなんて無様なことにはならないで済んだ。
けれど、ユーリ先輩は、俺の表情の変化で、わかるらしい。

「痛いみたいだな・・・ん、骨は平気みたいだな。たぶん捻挫だと思うけど」
どっちにしても、湿布ここにないから保健室行こう。
立てるか?そう言いながら、ユーリ先輩が手を差し出してきた。

「ほら、一緒に行ってやるから」
「平気です。一人で行けますから、先輩も競技に戻ってください」
「おれ、午前中の競技はもう終わったから、付き合うよ」
「でも・・・」
「遠慮すんなって、ほら、肩貨してやるから」
「すみません」

俺は差し出された彼の手に掴まり立ち上がった。

「こっちの肩に腕回して・・・掴まって歩いたほうが、足に負担かかんないだろ」
「はい」
「すみません、先輩だって、足痛いのに」
「気にすんなって」

俺は、細い先輩の肩に形だけ掴まらせてもらった。
本気で体重をかけたら、潰してしまうのではないかと、思ったからだ。

December / 03 Mon 11:43 ×
オレンジ色の空を見ながら、バスを待つ。

すると、ポン!と背中を叩かれた。
首を捻じ曲げると、彼がいた。

「今、帰り?」
「はい」
「めずらしーな!帰り一緒になるなんて」
「そうですね」
「なに?残勉?・・・なわけないか」
コンラッド、優秀だもんな。

「日直だったので」
「あ、日直ねー・・・って、二人でやればそんな時間かかんないだろ」
「はぁ、まぁ」
こり、とこめかみを掻く。

コンラッドの返答にユーリは、む、と眉を寄せた。

「また押し付けられたんだろ」
忙しいから、お願いとか言われて。

「・・・」
無言が答えだ。
ユーリは溜息をついた。

「駄目だぞ、いつもそれじゃ。ちゃんと嫌なら嫌って言わないと」
「でも、俺はそんな忙しくなかったですし、そんな大変な事じゃないですから」
「・・・コンラッドが、それでいいならいいけど、さ」
「ユーリ先輩も今日は遅かったですね」
「ん、体育祭近いから、その練習で。それにしても、バスおっそいなー」

バス停に来てまだ1分も経っていないのにそんなことを言う。

「バスが来るまでまだかなり時間ありますよ」
そう教えると、彼の眉が下がった。
「えー・・・マジ?」
腹減った・・・と
情けなさそうな声を出す彼に、コンラッドは小さく笑った。

「コンラッド」
「はい?」
「時間、ある?」
「え?それは、まぁ」
コンラッドは軽く瞬きをした。

「よし!じゃぁ、ちょっとその辺でなんか食べて行こ!」
「で、でも・・・校則で」
「平気、平気!この時間見回りなんかないって」

ユーリは、コンラッドの手首を掴むと先に歩き出した。

日直の仕事を押し付けられたけれど、こうして彼と帰れたので、
まんざら悪くない一日だと思った。

November / 20 Tue 15:05 ×
学校帰りてくてく歩いていると、前方からOL風のおねーさん達が楽しそうに歩いているところに
出くわした。

この近辺には、あんな華やかなおねーさん達が御用達にするようなお洒落なお店はないはずだ。

「ねー?行ってよかったでしょう?」
「そうね。でも、そうそう行けないから残念だわ」

すれ違う時、そんな会話が聞えた。

「行ってよかった?」
ユーリは首を傾げた。

なんだろう。
ランチのおいしい店でもあるのかな・・・って、もうランチの時間は過ぎてるし。
お酒を楽しむには早い時間だし。

それに、そうそう行けないって言ってた。
そうそう行けない理由といえば、やっぱりお値段が張るとかそういうことしか思い浮かばない。

「んー?」
でもまぁ、ああいう年頃のおねーさん方が行くような店では、ユーリには関係ない店だ。
そう思いながら、この間できたばかりの歯医者さんの前を通る。

歯医者さんの前には、まだメッセージボードが置いてあった。
診察時間とそれからオープン当時と変わらないメッセージが書いてある。

「見学だけでも歓迎です・・・か」

ユーリは少し足を止めて、医院の様子を見てみた。

受付と診察室だろうか?に続くドアが見えるだけ。
見学者はもちろん診察待ちのひともいないようだった。

「診察受けるひと、いないのかな」

呟いて、ユーリは再び歩き始めた。

歩きながら、ふと思った。

「そういえば、どんな先生なんだろ」

「もしかして、美人の女医さんとか!」
だとしたら、ちょっと見て見たいなぁ・・・などと思った。


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