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じなん部屋
April / 30 Thu 01:48 ×
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November / 20 Tue 15:05 ×
「あ、あそこオープンしたんだ」
通学路にあった空き店舗。
夏の初めに工事が入り、何の店になるんだろうと前を通る度に気にしていた店。
コンビニとかならちょっと嬉しいかもと思いながら、毎日その店の前を通っていた。

そして、今日多くの生花が飾られているので、オープンしたのを知る。

遠くから見た限りでは、商品などが見えないので、何の店なのかわからない。
ユーリは何の店か想像しながら、近づいていった。
そして、そのウィンドウを見て。溜息をつく。

【ウェラー歯科医院】

「なんだ・・・歯医者さんかよ・・・」
ユーリはがっくりと肩を落とした。
せめてパン屋さんとかだったらよかったのに。

「ん・・・なんだこれ?」
ふとカフェなんかにありそうなメッセージボードが置いてあるのに気がつき、
それを読んでみる。

「本日オープンしました。見学でも大歓迎です!お気軽にどうぞ・・・?」
ユーリは額を押さえた。

「見学、って・・・ここ歯医者さんだろ?」
一体なにを見学しろというのか。

「なんか、変なの」
ユーリは、なんだか可笑しくなって、小さく笑った。

自分は生憎虫歯がないので、お世話になることなどないと思うが、
ユーリの中にこの歯医者の印象は強く残った。

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November / 20 Tue 15:03 ×
「じゃ、ウェラーに決まりね」
「え・・・」
反論できないまま何故か図書委員になってしまった。

別に嫌いじゃないからいいけれど。
放課後はじめての委員会があって決められた教室に行くと、彼がいた。

「あっれ!?コンラッドも図書委員?」
目を丸くして、パタパタと近づいてきた。

「先輩も、ですか」
「そーなんだよ!居眠りしてて、気づいたらなってた」
あはは!と明るく笑うので、それに釣られて笑ってしまった。

「ま、仕方ない。忙しい委員会じゃないから、楽だし」
「そうですか」
「一年間一緒にがんばろーな」
「よろしくお願いします」

ペコ、と頭を下げた。

「ん、こちらこそ」

そこへ、担当の教師がやってきたので、俺たちは指定された場所に座った。

俺は、そっと気づかれないように彼のほうを見た。

同学年の仲間達となにやら楽しそうに話していた彼が、ふ、とこちらに気づき、
小さく笑うと、手をグッ、パと小さく開閉して合図をくれた。

図書委員になってしまったときは、なんとなくついていないなぁと思ったけれど、
今は、とてもラッキーだったと思う。
November / 20 Tue 15:03 ×
「おっ、と」
小さな声と同時にバサバサバサ!と本の落ちる音がした。

振り返らなくても、後ろを歩く後輩が本を落としたのだとわかる。

「大丈夫か、コンラッド」
おれは、側のテーブルに本を置いて、コンラッドの落とした本を拾うのを手伝った。

「すみませ・・・ユーリ先輩」
「いいよ、いいよ。コンラッドは見かけによらずドジなとこあるよな」

隣に住むコンラッド。
弟のいないおれには、可愛い弟のようで、ほとんど毎日のように一緒に遊んだ仲だ。
ハーフのせいで図体はあっと言う間におれを追い越したけれど、それでも、可愛いと
思ってしまうし、何かあったら、年上のおれがどうにかしてやらなきゃ!って思う。

「それから、先輩って呼ぶなって」
先輩、と呼ばれると、線を引かれてしまう様で嫌だった。

「はい、これで最後っと・・・!」
ぽん、と本を重ねて置き顔を上げると、コンラッドと目が合ってしまった。

いや、別に目が合ったくらいならこんなに驚きはしなかったと思う。

「コンラッド、め、眼鏡は!?」
「ああ・・・今、つまずいた拍子に本がぶつかって、その辺に飛んで・・・」

よく見えないのかコンラッドは目を細め、その辺を見渡した。

「ない・・・ですね」
「ま、待ってろ。おれが取ってきてやるから」
「すみません」
「えっと、眼鏡・・・」

おれは、サッ!と立ち上がり眼鏡を探す振りで、その場を離れた。

コンラッドは、小学校低学年の頃から眼鏡愛用者だ。
なので、おれの中のコンラッドの顔は眼鏡の顔しか思い浮かばない。
しかも、いっつも同じデザインの黒縁眼鏡。
今は、もっとお洒落なフレームの眼鏡だってあるのに、何故か同じなんだ。

で、本当久しぶりにコンラッドの素顔を見たわけだけど。

驚いた。
すっげ、ハンサム!

子どもの頃の面影は多少残っていたような気もするけど、
あれが、あの・・・おれが、弟のように可愛いと思っていたコンラッドと同一人物なんだろうか。

「先輩、すみません・・・眼鏡ありましたか?」

コンラッドの声が、聞こえ、おれは、はっと我に返った。

そうだった、眼鏡探してきてやるって言ったんだった。

おれはキョロキョロと辺りを見渡し、書庫と床の隙間に滑り込んでしまった眼鏡を見つけた。

「あー・・・あった、あった!こんなとこまで、飛んでたよ」
床にしゃがんで眼鏡を拾い上げ、ふーっと埃を吹き飛ばす。
ハンカチで拭いてやろうと思ったけど生憎、くしゃくしゃだった。

「はい、コンラッド。あっちの、書架のほうまで飛んでたよ」
キズとかついてないと良いけど、そう言いながら手渡した。
「ありがとうございます。すみません、探してもらって」
手渡された眼鏡を、ざっと見てからコンラッドがかける。
いつもの見慣れた顔に、おれはこっそり息を吐いた。

そうだよ、これがいつものコンラッドだ。
黒縁眼鏡のコンラッドじゃなきゃ落ち着かない。

「なぁ、コンラッド」
「はい?」
「どーして、コンタクトにしないの?」

本を棚に仕舞いながら、尋ねる。

「そうですね・・・眼鏡の方が楽だからですね」
「あ・そ・・・あの、さ」
「なんです?」

こちらを、見て首を傾げるコンラッド。

『なぁに?ゆーり』
ふいに、小さい頃のコンラッドとダブる。
可愛い可愛いコンラッド。
首を傾げるのは、小さな頃と変わらない、コンラッドのクセだ。
おれは、微かに笑って首を振った。

うん、やっぱりコンラッドはコンラッドのままだ。
背がおれより高くても。
声が低く大人っぽくなっても。
どんなに男前でも。

おれの、後を一生懸命ついてきていたコンラッドだ。

「ん、なんでもない。コンラッドは眼鏡似合ってるから、眼鏡で、いーよ」
「はぁ・・・」
頭にはてなマークをつけたまま頷くコンラッドにおれは笑顔を返した。

このまま、変わんないで・・・そう思った。

November / 20 Tue 15:02 ×
もう秋だというのに、蒸し暑い朝。
「いってきまーす」
玄関を飛び出てバス停に向かう。

「あっちー!」
シャツの襟元に指を入れバタバタと風を送るが、涼しくない。

角を曲がると見慣れた後姿。

長身を丸めるようにして所在無げに立っている。

「また背中丸めてるよ」
おれは呟いてスタスタと近づくと、その背中を叩いた。
そんなに力を入れてるつもりはなかったけれど、相手は半歩足を前に出した。

こんなことでよろめくなよ~、と内心突っ込みをいれながら

「っはよ!コンラッド!」
声をかけると、黒縁眼鏡くんが振り向いた。
その眼鏡も長めの前髪に隠れてしまっている。

「お、おはようございます。ユーリ先輩」
なんで、つっかえるんだろ?
急に声掛けられたから驚いたのかな。

「だからさ、その先輩ってのやめろって」
コンラッドとおれは家が隣同士で、小さい頃からずっと遊んできた仲だ。
おれとしては、コンラッドはいつまでたっても、後輩ではなく、
幼馴染のコンラッドなのだ。
だから、「先輩」なんて呼ばれると、寂しく思ってしまうのはおれだけなのかな。

無意識に頬を膨らます。

「すみません」
しょぼん、と謝る姿は叱られた大型犬みたいで可愛い。

「それから、いつも言ってるけど背中!背筋、伸ばせって。猫背カッコ悪いから」
「あ、はい」
おれに言われて、シャンと背筋を伸ばす。

「そうそう、その方がずっといい」
うんうん、とおれは頷いた。
「はぁ、そう・・・ですか」
こめかみを掻くコンラッドに笑いかける。

「せっかくの長身なんだから背中を丸めてるのなんてもったいないよ。あ、バス来た!」

おれたちは、到着したバスに一緒に乗り込んだ。

November / 20 Tue 15:02 ×
季節はそろそろ秋になろうというのに、まだミーンミーンと蝉が鳴いている朝。
いつものようにひとりでバス停でバスを待っていると、

「っはよ!コンラッド!」

バン!と背中を叩かれ、半歩前に足を出しながら、振り向くと元気一杯の笑顔があった。

「お、おはようございます。ユーリ先輩」
「だからさ、その先輩ってのやめろって」
おれ達、幼馴染なんだからさー。

むーっ、と頬をふくらます、ひとつ上の先輩。

「すみません」
「それから、いつも言ってるけど背中!背筋、伸ばせって。猫背カッコ悪いから」
「あ、はい」

言われて俺は背筋を伸ばした。

「そうそう、その方がずっといい」
「はぁ、そう・・・ですか」

こめかみを掻く。

俺が背中を丸めるようになってしまったのは、
あなたとの距離を少しでも縮めたいからなんですが・・・

なんて、言えるわけがない。

この気持ちはずっと秘めておくべき気持ちだから。

あなたと俺はずっと幼馴染で、先輩で後輩の関係なのだ。
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